今日は春からの開業に向けて、通訳ガイド派遣の会社の説明会を聞きに行ったり、東京都に通訳ガイドとして登録するための「健康診断書」を書いてもらいに病院に行ったりしてきた。
(「精神に異常なし」と診断してもらえてとりあえず一息…)
浜松町での説明会が終わると、ちょうどお昼の時間だった。
あまりに寒いし靴擦れで足痛いし非常にはらぺこだったので、とにかく貿易センタービルのレストラン街に逃げ込んだ。
温まりたい、米が食べたい、てことで韓国料理屋のランチにまっしぐら。
しかし、そこは昼時のオフィス街でして、
サラリーマンとOLで店は満席。
少し待たされた挙げ句、四人掛けの席に相席することになってしまった。
大体同年代の女性2人組
私
50代くらいのおじさん
の4人。
ちょっと気まずいけど、まぁしょうがない、そんなもんでしょ、と思い黙って座っていた。
ふと気づくと、女性2人は外国語を喋っている。
見た目はアジア系なので、さては韓国人か、と決め込んでまた黙っていたら、聞こえて来る会話がどうも中国語だった。
先入観ておそろしいわ、韓国料理屋だから韓国人、なんて、決めつけすぎだったのね、と心の中で苦笑。
それにしても、中国の人も韓国料理が好きなんだなぁ、と親近感を覚え、声をかけようかと思ったのだけど、何となく躊躇して、とりあえずそのまま黙っていた。
少しして、私が注文したユッケビビンバが最初に届いた。
久しぶりのビビンバ!
ロンドンにいたときはしょっちゅう自分で作っていたけど日本ではほとんど食べてない。
そのため忘れてたのです、コチュジャンをかけて混ぜ混ぜしなきゃいけないっていう、ビビンバの基本を。
何もかけずに混ぜて食べようとする私を見かねて、向かいに座ったおじさんが「赤みそ、かけるんですよ」とテーブルの端に置いてある入れ物を指差して教えてくれた。
私が(あら忘れてた、おじさんきっと常連さんなのね・・・)と思いつつ
「そうでしたね!ありがとうございます!」と言うと、
中国人の女の子がすかさず入れ物を手渡してくれて、
同時におじさんに「韓国の方ですか?」と聞いた。
「はい、そうです。」と、おじさん。
あらま!
途端にテーブルの空気が一変した。
忙しいお昼の相席のこと、黙ってそれぞれ急いで食事を済ませるしかないんだろうと思っていたのに、実は、たまたま偶然出会った日本人・中国人・韓国人がそろって食卓を囲む、という素敵なシチュエーションだったことに気づき、全員の気持ちが一気ほころんだのが分かった。
それからは、お互いの国の話や、食べ物の話で楽しい会話に花が咲いた。
「どちらも濃い味の食事文化だから、和食は物足りなくないですか?」と聞いたら、
みんなから「納豆大好き!」とか「むしろ、日本の食事に慣れたから国の食事が脂っこすぎ/辛すぎで変な感じがするよ〜 笑」と言われて何だか嬉しい私。
北京オリンピックや上海の魅力が話題に上り嬉しそうな中国人の女の子達。
「(偶然)中国人の女の子達も、私も、自家製キムチを漬けるほどキムチが好き!」という事実に、びっくりしながらもとても嬉しそうな韓国人のおじさん。
北京・上海・ソウル・東京というアジア主要都市出身の4人による
「浜松町東アジア主要都市キムチサミット」
とでも呼ぶべきこのお昼ご飯は、仕事の合間の短い昼休みにたまたま居合わせた参加国のメンバーの心を、確実にあっためた。
「ごめんなさい、昼休みが終わるので・・・楽しかったです!」
と中国人の2人が先に店を出て行き、最後はおじさんと2人きり。
「思いがけず、こんな風に話せて嬉しかったです!
私たち、みんなすごく似ているけれど、少〜しずつ違っていてとても面白いですね」
と私が言うと
「そうですね、でもこの3カ国の壁はどんどんなくなっていくと思いますよ。
私もこうして日本にいますし、出張でしょっちゅう中国に行くんです。
もっともっと我々は近付いていくんでしょうね」
と嬉しそうにニコニコと返してくれた。
そして、「まさかこんな風に会話が弾むとはねぇ!」と、嬉しそうにウェイターの男の子にまで話しかけていた。
去り際、「またここで是非会いましょう」と言ってくれたおじさん。
きっと私のことを浜松町勤務のOLと思ったんだろうな。
昼にあそこに行くことは滅多に無いから、たぶんここで再会することはもう無いだろう。
連絡先を聞きたいな、とも思ったけど、この一期一会の時間にすごく意味があったような気がして、「そうですね」とだけ言って別れた。
きっとあの場に居合わせた全員が、パワーをもらったに違いない。
この素敵な偶然の出来事を、嬉しそうに家族や友達に話すに違いない。
キムチを食べる時、毎回じゃなくても時々はお互いの顔を思い出すに違いない。
少なくとも私は、この先ずっとそうすると思う。
外はますます寒く、足のくつずれもいっそう痛かったけれど、私の気持ちはとっても軽やかで、改めて「あんな嬉しそうな顔を沢山見せてもらえるような、良い通訳ガイドになろう!」と思った。
就活事始めの今日のこと、天からのお告げだったのかしらねぇ。